バランス理論

世の中を見る目、人を見る目1(心理学総合案内こころの散歩道)

ハイダーのバランス理論

 私と、相手と、モノについて考えましょう。

 たとえば、私がいて、交際相手がいて、交際相手の趣味がある。

 私はその人が好き、その人は自分の趣味が好き、私もその趣味が好き。

 この場合は、バランスがとれています。私と相手と、その趣味の話をしても、話はスムーズです。

ところが、

 私は、その人が好き、その人はその趣味が好き、でも私はその趣味が嫌い、

この場合は、バランスがとれていません。

 バランスがとれていないと、気持ちが悪いので、「変えやすいもの」をかえます。たいていは、相手の趣味を理解しようとするでしょう。

 どうしても、それができない時には、交際相手を変えるか、それとも、その趣味の問題は、「とても小さいことだ」と考えます。


バランス理論の例

坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い

 そのお坊さんが憎いと、そのお坊さんが着ている服まで憎くなるということわざです。憎い相手が好きなものにたいしては、憎んだほうが心のバランスがとれるからです。

 嫌いな人が提案する意見は、意見の内容に関わらず反対したくなります。

友達の友達は友達

 仲良しの友達が仲良くしている相手にたいしては、自分も好意を持ちます。その方が、バランスが良いからです。

好きなタレントがコマーシャルしている商品に好感を持つもの同じです。

敵の敵は味方

 憎い敵が憎んでいる敵は、自分の味方にしようとします。その人と一緒に相手を攻撃できるわけです。


子供にとって夫婦げんかはなぜ辛いか
 私はお父さんが好き、私はお母さんも好き、そしてお父さんとお母さんはとても仲良し。それならばバランスがとれています。

ところが、

 私はお父さんが好き、私はお母さんも好き、でも、お父さんとお母さんはとても仲が悪い。これでは、心のバランスがとれません。子供は、どちらの味方にもなれず、大好きな両親のけんかを心を痛めながら見るわけです。

 どちらか一方の味方になってしまえば、一応、心のバランスはとれます。たとえば、お母さんと2人でお父さんの悪口を言えばよいわけです。

社会心理学的なバランスはとれていますが、このような状態が長く続けば、また別の問題は出てくるでしょうが。)